'93女神湖スカイエンデューロ顛末記


第一部

【レース前々日】
 高砂は電話中。相手は今回のレースでペアを組む東。

「うん?明日8時にそっちを出るんだ。じゃ、こっちには11時頃着けるか?判った。気を付けて来いよ。んじゃ、おやすみ。」

 いやー、いよいよあさってだ。レースなんて3年ぶりかぁ。楽しみだなぁ。
 ふっふっふ・・・はっはっは。(おい、おい、不気味だぞ)  

【レース前日】

「こんちわー、おせわになりまーす。」

高砂

「おー、早かったなー。じゃぁ、ひと休みしたら前日受付に行くかぁ。」


 場面一転。いきなり女神湖ふれあいセンター前。ここが今回のレースの受付&車検場その他になっている。

受付

「じゃ、これを着けて、明日の表彰式まではずさないでくださいね。」

 なんだこりゃ。いきなり手首にビニールの腕輪をはめられてしまった。かっこ悪い。男二人でこんなもんしてた日にゃ、他人はどんな目で見るか判らんじゃないか。危ない二人だと思われてしまう。ウー・・・

「まぁ、いい。車検受けたらさっさと帰るぞ。」

STAFF

「じゃぁ、エンジンかけてください。ウインカー点けて。ブレーキ踏んでください。はい、OKです。これ、外さないでくださいね。」

 ありゃ、また同じ腕輪だ。しかし、こんな簡単な車検でいいの、というくらい簡単なもんだった。

高砂

「こんなんじゃ、この後、エンジン積み替えても判らんぞ。」

「まぁ、いいんじゃない。参加資格だって自己申告なんだから。」


松本。高砂の家。

「このエントリーリスト見ると、あまり問題になりそうな参加者いないんじゃないかなぁ。80CC以下のクラスじゃ、スタート一番最初だし。」

高砂

「そうだなぁ、とりあえず、20代でCRM80の奴だけかな、マークしなきゃならんのは。」

 (おまえらは、年とマシンとスタート順で判断するんか?)

「出場するからには、優勝ねらいで行くぞ。俺はがんがん行くからな。」

 この友人東は、ほんとに最初からがんがん行って大変なことになるんだが、この時はまだそんなことは神様、いや、女神湖に住んでいるという(?)女神様しか知らない。

【レース当日】
 レース前のライダーズミーティング。
 今回のレースの協力”アルパインスポーツアカデミー”の人(以下A氏)が壇上に登った。

A氏

「脅かすわけではありませんが、毎回、10台は崖から落ちます。遊びに来て怪我などしないように。全員ここに帰ってきてください。」

高砂

「東、落ちるなよ。一応、ロープは持ってきたが。」

「まかせなさい。とりあえず転けないように走る。それが一番速い。」

 ほんとに大丈夫だろうなぁ。まぁ、レースは今回初めてというわけでもないし、だいじょうぶだろう。

「ところで、じゃん、けん。」

高砂

「ぽん。」

「また、負けたか。じゃぁ、俺がスタートやるわ。」

 (第一ライダーなんて決めてなくて、人の話を聞け)

A氏

「ジャンピングスポットもありますが、大きく飛ぶと、着地点の岩で、パンクしたりしますんで、気を付けてください。」

なめていくぞ。」

高砂

「おう。」

 その後、全員で写真を撮ってスタート地点に移動。実はこのミーティング前にも一騒動あったんですが、それはここでは触れません。


<<注記>>

車検

2年毎にある自動車のあれではない。バイクがレースの規定に適合しているか見るのである。(<そんなことみんな知ってるって)

自己申告

このレースでは、「エンデューロレースやモトクロスで、上位に入賞したことのない人」というのが参加資格になっているが、あくまで自主性にまかせられている。

スタート一番最初

参加台数280台が一斉にスタートできるわけがないので、3台づつ10秒間隔でスタートする。ということは、最初と最後では、スタートが15分以上違うことになる。

CRM80

バイクの名前。ホンダの80cc。我々のマシンもこれ。

なめて

決してレースをなめているわけではない。ジャンピングスポットを飛ばずに、地面なりに走ることである。


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